甲州増穂美術庵 見晴らしのよい尾根の斜面に立つ風変わりな美術館
甲州増穂美術庵は、個人の住宅の一部を利用して開設された小さな小さな美術館です。特異な細密画で知られる石井精一と、陶芸と富士山の景観を通して増穂町に強い縁をもった池田満寿夫の作品を展示しています。富士川を見下ろす見晴らしのよい別室で、お抹茶をいただきながらゆっくりと時間を過ごすこともできます。
*個人の住宅内にありますので、見学の際はからならずご連絡の上おでかけください。

「石井精一という人は、増穂町で映画の看板を描いていた人なんです。それが実は評価の高い画家だったんですね。昭和62年に50歳でなくなりました。主人がそれを知って、何とか作品が散逸しないようにと集めはじめたのが、甲州増穂美術庵のはじまりです」
美術庵の「女主人」、深沢節子さんが、話してくれました。

室内には、「作品に手を触れないで下さい」と注意書き。「そんなの常識じゃないか。なにを当たり前のことをいうんだろう」と一瞬むっとする。が、作品を見た瞬間、無意識のうちに手をのばそうとしている自分に気がつく。案内してくれた息子さんが、「分かるでしょ」といいたげに笑っている。

「じつは、町が所蔵していたものの中にとてもよい作品があったのです。それが、だめになってしまった。見る人が、どうしてもさわりたくなってしまうんですね。それで、こすれて絵の具がはげてしまった」

石井精一の作品は、単なる「だまし絵」「細密画」ではないように思います。リアルイラストということでいえば、「写真よりリアル」に描く画家はたくさんいますが、ここにあるのは、リアルとか細密とかいうことを超えて、石井精一の特異な心象風景といったものでしょうか。石原慎太郎氏はそれを、「山梨の土俗的な雰囲気」と評しています。私には、土俗とモダニズムの絶妙の混交と映りましたが、いかがでしょう。

美術庵ではこのほかに、池田満寿夫の初期の傑作や、晩年力を込めた陶板画「富士百景」などを見ることができます。

石井精一


昭和12年・愛知県生まれ
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ご案内

甲州増穂美術庵
0556−22−4488

入館料
大人700円
小学生350円
      お抹茶とお菓子と、その時々のおみやげ・記念品つき 1500円
       *お約束してから考えますので、事前にご予約を


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最終更新日/2003年8月29日